自分でできる冬の感染症予防~インフルエンザ・ノロ対策~

12月に入ると「インフルエンザで小学校が学級閉鎖になったらしい」と耳に入ってきます。とくに幼稚園や保育園、学校といった集団生活では感染が広がりやすくなります。自分の子どもが、家族が、感染したらどうしようと不安になりますよね。出来ることなら感染したくないものです。
そこで冬の感染症対策として、インフルエンザとノロウイルスの予防法を中心に調べてみました。

インフルエンザとは?

インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気で、
38度以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身の倦怠感等の症状が出ます。
普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻水、咳の症状も見られますが、熱が下がってからの方が強くなる傾向があります。

日本ではA型とB型が主なインフルエンザウイルスで、このうちA型が2種類で、B型が1種類で計3種類のインフルエンザウイルスが流行り、どのウイルスがいつ、どこで、どれくらい流るのかは、地域やその年によっても異なります。
例年12月~3月が流行るシーズンで1月~2月がそのピークになります。

感染経路は接触感染と飛沫感染があります。

接触感染

感染した人が咳やくしゃみを手で抑えた後や、鼻水を手で拭った後に、机やドアノブなどにふれるとウイルスが付着します。そこに健康な人が触れて、その手で目や鼻、口に触れると粘膜や結膜からウイルスが侵入します。

飛沫感染

感染した人の咳やくしゃみ、つばなどの飛沫を健康な人が吸入すると感染します。
咳で1.5メートル、くしゃみで3メートル、飛沫が飛ぶと言われていて、電車やバス、室内などの限られた空間では感染しやすくなります。

ノロウイルスとは?

ノロウイルスは11月から12月にかけて流行し、何度でも感染します。
潜伏期間は約12時間から48時間で、主な症状は、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛で発熱は軽度です。
またノロウイルスには抗ウイルス薬がありません。

感染経路は以下の通りです。

人から人へ

・食品を扱う人が感染していて、その人を介してウイルスで汚染された食品を食べた。
・感染した人の嘔吐物や排泄物からの二次感染。

食べ物から

ウイルスに汚染された二枚貝などを、生あるいは十分に加熱せずに食べた。

予防のためにはなにをすればいいの?

手洗いとうがいはインフルエンザとノロウイルスのどちらに対しても感染リスクを下げる有効な予防法になります。
意外と出来ていそうで出来ていない手洗いとうがい。きちんとできているという方も多いかと思いますが、改めて正しいやり方を見直してみました。

まずは手洗い

手洗いチェッカーで洗い残しを目の当たりに

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洗い残した部分が白く光ります

私は今回、いつもの手洗いがどれくらいきちんと出来ているのか、保健師さんのもと、手洗いチェッカーの実験を受けてきました。専用のクリームを手に塗ったあと、いつも通りハンドソープで手洗いをします。水を拭き取り、専用のブルーライトに手をかざすと・・・!
なんと洗い残しの多いこと。手のひら、指先、手の甲と指と指の間のしわまで、あらゆるところに洗い残しの跡がありました。

手洗いの仕方のポイント

・時計や指輪を外す。
つめは短く切っておく。
・洗い残しの多い指先、指の間、手首、親指の付け根に注意し、約20秒、手指全体を強くこすり合わせる。
・ペーパータオルなどで両手を完全に乾かす。
・手洗い後、ハンドクリームなどの保湿剤を使用し、手荒れ対策もする。

正しい手の洗い方
厚生労働省HPより

手洗いの仕方のポイント

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子どもの場合、きちんと洗えているのかイマイチ分からないものです。
保健師さんからおすすめされたのは、チューリップの歌を歌いながら手洗いをするということ。
一緒に歌を歌いながら手洗いをしてあげると、子どもも楽しくできて20秒はかかります。出来たら褒めてあげることも忘れずに、ということでした。

そして“うがい”も忘れずに

うがいでウイルスは落とせない?!

実は、うがいはウイルスを落とす効果はないそうです。
でも、口腔内の粘膜にほこりや細菌が付着するのを防ぎますので、大切な予防の一つになります。
乾燥していない口や鼻、のどの内壁には感染防御システムが備わっていて、粘液で異物を付着し、繊毛運動によって外に出してくれます。うがいはこの防御システムを向上させます。

うがいの仕方のポイント

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・まず水を口に含み、強くクチュクチュしながら口の中を2~3回洗い流す。
・次に、のどの奥の方で約10回ガラガラと10~15秒うがいし、水を吐き出す。
・最後に、もう一度ガラガラとのどの奥をうがいする。

うがいができない子どもの場合は、水分を多めに摂ってのどを潤すといいそうです。

インフルエンザの予防法、まだあります!

インフルエンザの予防には手洗いやうがいの他にも有効的な予防法があります。

「咳エチケット」って聞いたことありますか?

厚生労働省では他の人への感染を防ぐため「咳エチケット」として、マスクの着用や人混みでの咳をする際の注意点について以下のように呼びかけています。

「咳・くしゃみが出る時は、他の人にうつさないためにマスクを着用しましょう。
マスクを持っていない場合は、ティッシュや腕の内側などで口と鼻を押さえ、他の人から顔をそむけて1m以上離れましょう。」

「鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、 手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗いましょう。」

「咳をしている人にマスクの着用をお願いしましょう。」
(厚生労働省ホームページより引用)

また保健師さんの話によると、マスクを着用していない、ハンカチやティッシュがない等のときに咳やくしゃみが出た場合は、腕にすると手のひらに比べ接触感染が予防できるとのことでした。

マスクの着用~推奨は不織布マスク~

咳エチケット用のマスクとして不織布マスクが推奨されており、薬局やコンビニ等で購入することができます。保健師さんのお話によると、なんとガーゼのマスクはウイルスを簡単に通してしまうのだそうです。

子ども用の不織布マスクもあり、我が家は大人用と併せて箱で使い捨ての不織布マスクをいつもストックしています。

マスクの扱い方のポイント

濡れたら速やかに交換。
・原則使い捨て、1日1枚をめどに取り替える。
・装着したマスクの外側は、ウイルスなどの病原体が付着している可能性があるので、触れないように気を付けましょう。

マスクを嫌がる子どもは多いもの。我が家ではマスクにハートやリボンなどのスタンプを押してあげると、喜んで着用してくれます。ちょっとした工夫で着用してくれるようになるかもしれません。

消毒用アルコール

最近はスーパーや百貨店等の出入口でプッシュ式消毒用アルコールの設置をよく見かけ、使ったことがある人も多いと思います。
消毒用アルコール製剤(アルコール分60~80%)を使うと、インフルエンザウイルスは完全に死滅します。しかし、使い方次第ではその効果が発揮されません。
また残念ながらノロウイルスには効果がありません。

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実際に保健師さんのもと、いつも通りワンプッシュして手をこすり合わせてみましたが、私の使い方は残念ながらNG。理由は規定量の消毒薬を付けられていなかったということ。

下まできちんとワンプッシュすると規定量の消毒薬が出ます。
私は軽くシュッと押しただけで霧吹きをかけたような量しか手に取ることができませんでしたが、下までワンプッシュすると消毒薬が手のひらから滴り落ちるほど出ます。実際に体験しましたが、手を擦り合わす時間もいつもの倍近くかかりました。

また手が汚れている状態で使用しても効果があまりなく、使う前は手をきれいな状態にしておくことが必要だそうです。
とくに子どもの手は食べかすや泥んこなどで汚れがちですよね。そんなときは手洗いするか、ウェットティッシュ等で手を拭いてきれいな状態にしてから使用するといいそうです。

予防接種

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接種する時期はインフルエンザの流行がピークになる1~2月を考慮し、12月中旬までに接種を終えていることが望ましいと言われています。
予防接種をすると絶対にかからないというわけではありませんが、たとえかかったとしても重症化を防ぐ効果があります。

私が妊娠7か月のとき、人生で初めてインフルエンザにかかりました。
医師と相談し、症状を長引かせないことと、発熱から48時間以内であったことから抗ウイルス薬で処置しました。(抗ウイルス薬は発熱から48時間以内に使用すれば効果が出ます。
私の場合、予防接種を受けていたので熱も一晩で下がり、症状が長引かずに済みました。
医師には「予防接種を受けていた効果が大きい」と言われたことが印象的でした。

保湿と換気

インフルエンザウイルスは乾燥した場所が大好き。部屋の湿度は加湿器などを使用して50~60%に保ちます。
また1~2時間に一度は空気の入れ替えも行いましょう。

睡眠と栄養

寝不足や不規則な生活が続くと抵抗力が落ちて、インフルエンザにかかりやすくなります。

人混みや繁華街への外出を避ける

食料などの生活必需品の備蓄

インフルエンザ(特に新型インフルエンザ)流行中は不要な外出をしなくて済むように、食料や日用品の1~2週間分程度の備蓄をするといいです。
また、同時に不織布マスクも1人当たり20~25枚備蓄しておくといいでしょう。

インフルエンザとノロウイルスに関する最新情報は厚生労働省のホームページをご覧ください。
またノロウイルスの消毒方法についてはこちらのURLをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/

一番の基本になる予防法は「手洗いとうがい」。毎日簡単にできることだからこそ、とくにこの季節は丁寧に正しく行うことが大切になってきます。
1人1人が意識を持って予防すれば自分を守ることになり、さらに親は子どもへ教えることで、家族を守ることにもつながり、全体の感染拡大を抑えることが期待できます。
冬の寒い季節を健康で元気に乗り切っていきましょう。

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