子宮の病気の原因と初期症状|知っておきたい!女性の病気と不妊 第一回〜感染症・筋腫・腺筋症・外妊娠・頚がん・体がん

女性の皆さん、きちんと自分の身体のこと知っていますか?
妊娠・出産時に産婦人科医の先生に聞きたくても「忙しそう」「こんなこと聞きにくい」などで聞けなかったことがあると思います。
また、子育てで忙しく、産後変化しつつある女性の体や不調について知る機会がなかなかありません。

ままてぃで産婦人科医の先生によるコラム「知っておきたい!女性の病気と不妊」が始まります。
女性特有の様々な体調不良や異常にどんな病気が潜んでいるのか、「女性特有の病気」、「不妊治療」について、不定期でコラムをお届け致します!

曽根原弘樹
株式会社ゲノムクリニック代表取締役
千葉大学医学部附属病院産科婦人科・遺伝子診療部 医師

*先生のプロフィールは記事末尾をご参照下さい
株式会社ゲノムクリニックHP

第1回目コラム「子宮の病気の原因と初期症状」
ままてぃのホームページをご覧になっている方はママさんが多いと聞きました。
初回のコラムは女性の体にとって一番大事な「子宮」について書きたいと思います。
子宮は赤ちゃんを育み、女性らしさを作る大切な臓器です。
一方で様々な病気が起こることがあり、そのサインを見逃さないことで治療につなげることができます。
いくつかの主な病気と重要なサインをお伝えします。

子宮の構造

子宮は骨盤内にあり、握りこぶしほどの大きさです。
上部は左右の卵管に、下部にある子宮口は膣につながっています。子宮は大きく子宮体部と頸部の2つにわかれます。
どんな場所にどんな病気が起こりやすいのかを解説します。

[子宮体部]
子宮の上部。赤ちゃんが育つ部分。
●起こりやすい病気→子宮筋腫、子宮体がん、子宮腺筋症(子宮内膜症)など。

[子宮頸部]
子宮の入り口近くのくびれた部分。
●起こりやすい病気→子宮筋腫、子宮頸がんなど

子宮の病気とは?初期症状・原因・治療法

知っておきたい子宮の主な病気について、原因や初期症状、治療法などをまとめました。

*子宮の感染症

<特徴や原因>
子宮、またはその入口である膣には様々な感染症が起こります。クラミジアカンジダトリコモナスなどの病原体が一般的です。

<初期症状>
サインは様々ですが、特に帯下(おりもの)の変化とかゆみに気をつけてください。帯下が増えた、においが気になる、かゆみがあるといった場合は一度婦人科で診察を受けたほうが安心です。

<治療法>
現在は良い抗生剤がありますので、比較的簡単に治療できる場合が多いです。

*子宮筋腫

<特徴や原因>
子宮筋腫は、子宮にできる腫瘍(できもの)の中で最もよく見られます。
原因はまだはっきりしていませんが、ホルモンの影響遺伝子変異など様々な要因が考えられています。
がんとは異なり良性です。その場に留まって大きくなります。
子宮の外側・筋肉の中・子宮の内側など、できる場所によって症状が異なります。症状が無ければすぐに治療する必要はありませんが、ときに生活に支障をきたす場合があります。特に子宮の内側に筋腫ができた場合、月経量が増えてしまい貧血につながることがあるので要注意です。

<初期症状>
サインは「月経量が増えた」「血の塊が出る」「ふらつきや息切れがある」といった症状です。そういった症状がある場合は、ぜひ婦人科を受診してください。見逃さないでください。
また、子宮筋腫は不妊症の原因になることもあります(不妊については今後の連載で触れたいと思います)。

<治療法>
治療法は薬と手術などの方法があります。
良性のため、手術の場合は筋腫のみを部分的に取り除くことが可能です。子宮の内側の小さな筋腫であれば内視鏡で取ることもできますので、負担も少ないです。また、薬によって増大を止めたり、症状を和らげたりする治療法もあります。

*子宮腺筋症

<特徴や原因>
子宮腺筋症は子宮の内側の組織が筋肉の中にできてしまう病気です。通常、子宮の内膜は月経とともに剥がれ落ちることを繰り返しますが、筋肉の中にできてしまうと溜まっていってしまいます。

<初期症状>
サインとしては「重い月経痛」が起こります。

<治療法>
治療法としては、ピルなどのホルモン剤による薬物療法と、手術があります。
月経痛は個人差が大きいのですが、市販の痛み止めを内服しても調整できない月経痛がある場合にはぜひ婦人科を受診してください。

*子宮外妊娠

<特徴や原因>
今回は妊娠中の様々な病気には触れませんが、子宮外妊娠は「まさか妊娠しているとは思っていない」ときに起こる怖い病気です。
子宮の外側に妊娠が起こってしまうことで、破裂による大出血を起こし、亡くなることもあります。

<初期症状>
サインは腹痛ですが、腹痛は様々な原因で起こるため、ご自身も医師も妊娠に気づかず、見逃されてしまうことが時にあります。また虫垂炎(盲腸)や胃腸炎と間違われるケースもあります。
妊娠の有無は検査薬ですぐに調べることができます。病院を受診する際は必ず「現在、妊娠の可能性があるか」を把握し医師に伝えるようにしてください。

<治療法>
治療法は基本的には手術による妊娠している部分の切除ですが、薬物により治療できる場合もあります。

*子宮頚がん

<特徴や原因>
子宮頸がんは子宮の入り口にできるがんです。原因としてはヒトパピローマウイルス(HPV)が多いです。ウィルスの他、偶然起こる場合もあります。

<初期症状>
初期段階で痛みなどの症状が出ることはまれで、症状を感じないまま進行してしまう場合が多いです。そのため、大切なのは検診による早期発見です。「痛くないから大丈夫」とは思わず、早期発見につなげる努力を怠らないでください。

<治療法>
治療法は手術になりますが、初期であれば手術内容も軽く済みます。お住まいの自治体が推奨する「子宮頚がん検診」を必ず受けるようにしてください。

*子宮体がん

<特徴や原因>
子宮の本体にできるがんです。初期であれば十分に治療が可能ですが、進行してしまうと命に関わることがある重要な病気です。原因の多くは偶然起こってしまうDNAのエラーです。そのため、誰にでも起こる可能性があります。

<初期症状>
子宮体がんのサインは出血です。特に普段の規則的な月経とは違うタイミングで不規則に起こる「不正出血」が重要なサインとなります。不正出血を繰り返す場合はぜひ婦人科を受診してください。

<治療法>
治療法は主に手術になります。初期であり妊娠を希望する場合には子宮の温存を目指す場合もあります。

早期発見のためにも定期健診に行きましょう!

以上、子宮の病気をいくつかご紹介しました。
初期症状は以下の通りです。

・子宮の感染症;帯下が増えた、においが気になる、かゆみがある
・子宮筋腫;月経量が増えた、血の塊が出る、ふらつきや息切れがある
・子宮腺筋症;重い月経痛
・子宮外妊娠;腹痛
・子宮頚がん;症状が出ないことが多い
・子宮体がん;不正出血

その他にも子宮には様々な病気が起こることがあります。「なんかいつもと違うな」「生活に支障があるな」と感じた際はぜひ早めに地域の婦人科を受診してください。

どの病気も原因はいろいろありますが、バランスのよい食生活健康的な生活習慣を日頃から心がけることが健康な体作りには大切です。
また、早期発見に繋がりますので、定期的に婦人科健診をしましょう。


【医師プロフィール】

曽根原弘樹 
そねはらひろき

株式会社ゲノムクリニック代表取締役
千葉大学医学部附属病院産科婦人科・遺伝子診療部 医師

【経歴】
神奈川県川崎市出身
中学・高校は都内へ
筑波大学で農学を学ぶ
東大柏の葉キャンパス大学院 生命科学専攻
千葉大学医学部編入学 医師免許を取得
川崎市で初期研修医を修了
千葉大学医学部産婦人科に入局。博士号取得
2018年、千葉大学発ベンチャー株式会社ゲノムクリニックHPを柏の葉に起業

【ご挨拶】
はじめまして、株式会社ゲノムクリニック代表取締役・医師の曽根原弘樹と申します。
千葉大学医学部附属病院の産科婦人科と遺伝子診療部に所属しています。
これまでは研究として行われていたDNA解析が次第に一般の方々にも広まりつつあります。一方で、誤った解釈が行われるなど玉石混合の状態です。
学んできた技術を特に「がんの早期発見」と「不妊治療」の領域に活かすことを目的にゲノムクリニックを起業しました。
会社の本社がままてぃの本社と同じKOILにありまして、そのご縁で、今回ままてぃのホームページでコラムを連載することになりました。
今回のコラムを通じて特に婦人科領域での大切な病気のことを知っていただくと共に、DNA解析についても興味を持っていただければ幸いです。

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