2月3日は「節分」。
節分と言えば、家族や友達と豆まきをするのは楽しいものですね。
豆まきの後は、年の数あるいは数え年の数だけ豆を食べるという習慣もあります。
でも、この楽しいはずの節分行事で悲惨な事故を起こさないために、“豆”について知っておきたい情報があります。
5歳以下の子どもは節分の「豆」に注意!
厚生労働省の人口動態調査によれば、過去6年間(2014年~2019年)で、食品を誤嚥(ごえん)し窒息したことで14歳以下の子どもが80名死亡しています。
このうち5歳以下の子どもは約9割(73名)を占めています。
医療機関ネットワーク事業の事故報告によれば、過去10年間(2010年~2020年)に医療機関から寄せられた情報のうち、14歳以下の子どもが食品を窒息または誤嚥した事故情報は164件あり、このうち5歳以下の事故は86%(141件)を占めています。
原因となった食品は菓子類が最も多く、次いで豆・ナッツ類でした。
節分用の豆による窒息・誤嚥の死亡事故
2020年2月には、当時4歳4ヶ月の男の子が、島根県松江市内の保育所型認定こども園の豆まき行事で、炒り大豆をのどにつまらせた気道閉塞によって意識不明となり、同日死亡するという悲惨な事故が起きています。
豆に注意すべき「年齢」
奥歯が生えそろっていない子どもやかみ砕く力・飲み込む力が十分ではない子どもは、窒息や肺炎のリスクがあることに注意しましょう。
消費者庁では、このような窒息・誤嚥に注意が必要な対象年齢を以前は3歳以下としていましたが、現在は5歳以下に引き上げて注意を呼びかけています。
節分用の“豆”で注意すること
下記は、消費者庁が公表している窒息・誤嚥事故防止のために注意することです。
(1)・(4)の項目は豆まきの“豆”でとくに注意したいことで、(3)は豆に限らず食事全般で注意したい内容となっています。
(1)豆やナッツ類など、硬くてかみ砕く必要のある食品は5歳以下の子どもには食べさせないでください。 喉頭や気管に詰まると窒息しやすく、大変危険です。小さく砕いた場合でも、気管に入りこんでしまうと肺炎や気管支炎になるリスクがあります。
(2)ミニトマトやブドウ等の球状の食品を丸ごと食べさせると、窒息するリスクがあります。乳幼児には、4等分する、調理して軟らかくするなどして、よくかんで食べさせましょう。
(3)食べているときは、姿勢を良くし、食べることに集中させましょう。
物を口に入れたままで、走ったり、笑ったり、泣いたり、声を出したりすると、誤って吸引し、窒息・誤嚥するリスクがあります。
(4)節分の豆まきは個包装されたものを使用するなど工夫して行い、子どもが拾って口に入れないように、後片付けを徹底しましょう。
上記に出てくる食品名は豆やナッツ類・ミニトマト・ブドウだけですが、これに限らず硬くてかみ砕く必要のある食品や球状の食品を丸ごと食べる食品、お菓子を食べるときは注意しましょう。
参照:消費者庁 食品による子どもの窒息・誤嚥(ごえん)事故に注意!
事故が起きたときの対処法
食品がのどにつまり窒息と判断した場合、すぐに119 番通報して指示を仰ぎます。
窒息後は5~6分程度で呼吸が止まり意識を失い、心臓が停止し、大脳が障害をきたすと考えられています。
とくに乳幼児は低酸素症が重篤化しやすいことから、救急車が到着するまでの応急手当が重要になってきます。
「窒息」と判断した際の応急手当は、乳児(1歳未満の子ども)と1歳以上で方法が異なります。
乳児(1歳未満の子ども)の場合
119 番通報し、反応がある間は頭側を下げて背部叩打(はいぶこうだ)と胸部突き上げ(きょうぶつきあげ)を行います。
厚生労働省による「救急蘇生法の指針 2015」に、応急手当の詳しいやり方が掲載されています。
1歳以上の場合
119 番通報し、腹部突き上げ(ふくぶつきあげ)や背部叩打(はいぶこうだ)を行います。
異物がのどにつまって窒息を起こした場合、「窒息のサイン」と呼ばれる“親指と人差し指でのどをつかむ仕草”をすることがあります。
窒息と判断する手段の1つとして覚えておきましょう。
子どもの救急に関する相談窓口
窒息・誤嚥のほかにも、日常生活の中で子どもが思わぬケガをしたり、かかりつけ病院の休診日や夜間に限って病気にかかったとき、どのような対応をしていますか。
突然の子どものケガ・病気に困ったときに役に立つ相談窓口があります。
例えば、ケガや病気で今すぐに病院へ行くべきか判断に悩むときに役に立つ「こどもの救急」、症状に応じた対処法・すぐに受診できる病院を知りたいときに便利な「#8000」など、子どもの救急時に役立つ相談先を把握しておきましょう。
まとめ
食品による窒息・誤嚥の原因の1位はお菓子、2位が豆・ナッツ類です。
節分用の豆(豆・ナッツ類)は、窒息・誤嚥を防ぐため以下のような点に注意し、万が一にも事故が起きたときの応急手当の方法も学んでおきましょう。
◎豆・ナッツ類は5歳以下の子どもに食べさせない
◎食べるときは姿勢を正すなど食事に集中させる
◎豆まきは個包装の豆をまくなど豆が散乱しないよう工夫する
◎豆まきの後は豆を片付けておく
各地域の消防署では、心肺蘇生やAEDの使い方、応急手当について学ぶことができる「救命講習」が実施されています。
「救命講習」では、子どもの窒息・誤嚥の応急手当に限らず、日常生活で起こりうるケガの手当や家族の命を守るための知識を学ぶことができます。
実際に「普通救命講習Ⅲ」(主に小児、乳児、新生児が対象の心肺蘇生法を学ぶ講座)を受講したママライターの記事もぜひ読んでみてくださいね。
出身は茨城県。園児の息子が1人。
趣味は漫画・アニメ鑑賞。
オタク気質で、息子に買い与えたはずのミニカーに私がドハマりし、いつの間にか立派なミニカーコレクターに。
好物はフライドポテト。減量を諦め、現状維持に励む日々。