【虐待】児相に通告・相談した先輩ママの不安と葛藤レポート


他所の家から、異常な泣き声や悲鳴が聞こえる、明らかに暴力を受けた傷痕があるなど、虐待を受けている可能性がある子どもを見かけたとき、あなたはどう対処していますか?
虐待ではない可能性もありますが、大事にしたくない、関わりたくないなど、ことの重大さに気づきながらも、見て見ぬふりをしていませんか。

もし、あなたが自分自身の保身のために通告できずにいるのなら、実際に児童相談所に通告してみたママの体験談を聞いてみましょう。

児童相談所へ匿名で通告できるってホント?

児童相談所に電話をかけるとき、通告者の個人情報が関係者にバレてしまわないかは、気になるところですね。
実際のところ、匿名での通告・相談は可能でした。
この匿名での通告・相談が可能であることは、児童相談所虐待対応ダイヤル「189」のホームページにも明記されています。

児童相談所への電話は無料でかけられる?

児童相談所虐待対応ダイヤル「189」は、通話料が無料です。※
実際に、この「189」にスマートフォンから電話をかけましたが、通話料金は無料でした。
「189」に電話すると、最終的には管轄の児童相談所につながることになりますが、固定電話スマホ・携帯電話からかける場合では流れが少し違うため以下で解説します。

固定電話からかける場合

固定電話の場合は、市内局番によって管轄する児童相談所へ自動振り分けされます。
ただし、市内局番地域が児童相談所の管轄地域と一致しない場合は、住んでいる県あるいは市町村を聞かれ、それぞれ管轄する児童相談所に電話がつながります。

スマホ・携帯電話からかける場合

スマホ・携帯電話の場合は、コールセンターにつながり、住んでいる地域情報を聞かれてから、管轄する児童相談所へつながります。

出典:厚生労働省

※一部のIP電話はつながりません。

なぜ通告したか?電話相談の流れとは?

通告者による、やりとりの流れを説明します。(特定を防ぐため、一部内容を変更しています)

①子どもの異常な泣き声と大人の怒声

以前から、連日子どもの泣き声が響いているお宅があり、周囲でも噂になっていました。
ある日、いつも通り子どもの泣き声が聞こえてきたところ、風向きの影響なのか、親子が話している具体的な言葉がハッキリと聞こえ、ある程度のその場の状況と子どもが嫌がっている様子がわかりました。
大人のドスのきいた声が聞こえたかと思うと、外からでもわかるほど、何度も何かを叩くような音と何かが落ちるような音が響きます。
大人の私(通告者)でさえ、震えあがるほどの怒声に一瞬パトカーを呼ぶべきなのか迷うほどでした。

②通告するべきか

通告するべきかどうか確信を持てぬまま、それから何日も過ぎていきましたが、その声と音は聞こえてきます。
そんなある日のこと、再び同じようなシチュエーションが重なり、また鮮明に親子のやりとりが聞こえてきました。いつもと同じようなやりとりが何度か繰り返された後、一瞬静かになったと思ったときです。
大人の怒鳴り声と鈍い音、そして子どもの苦しそうな悲鳴が響き渡りました。

③通告
<役に立った物>

その場ですぐ189に連絡しました。
電話はすぐにつながり、児童相談所の方には匿名で出来事の流れを説明しました。
その時に、意外にも役に立ったのが私の日記帳でした。
元はわが子の成長をメインに書いていた日記でしたが、子どもの悲鳴や怒声が聞こえた日時など※をメモしていたので、今までの出来事を正確に伝えられたのではないかと思います。
※何らかの問題があったと思われる日時、連続して起こった時間帯、聞こえてきた言葉など

電話の流れ

今回、私はスマホから189に電話をかけました。
下記では、その電話の流れを説明します。
・通告者が“どこに住んでいるか”を聞かれ、管轄する児童相談所についての説明される。
・管轄する児童相談所へ電話がつながる。
・詳しい事情を説明する、通告は匿名か名前を名乗るかを尋ねられる。
・相談所側から“今後、児童相談所から連絡をとってもいいか?”と尋ねられる。※
・通話終了。

以上の流れで、189に電話が終了しました。
※私の場合、児童相談所側からの“児童相談所から連絡をとってもいいか?”という質問に対し、土日にメールでの連絡をお願いしたところ断られてしまいました。
私が住む地域の児童相談所の場合、連絡は “平日に電話のみ”と説明されました。この質問の有無・対応方法については、各地域の児童相談所によって異なるのか未確認です。

その後の子どもの安否連絡

その後、児童相談所側から私に連絡が来るということはありませんでした。
よって、子どもの安否や児童相談所がどのような対応をしたかは私(通告者)にはわかりませんでした。

虐待は身体的暴力だけではない

厚生労働省の公表する「児童虐待の定義」によると、児童虐待は身体的虐待・性的虐待・ネグレクト・心理的虐待4種類にわけられています。


通告して思うこと

上記の「児童虐待の定義」を見ると、児童虐待は他人がすぐ見て判断できる問題だけでないことがわかります。
今回の出来事の通告者である“私”は現在30代の大人です。私が育った家庭では、親に叩かれるのは普通のことでした。
さらに、きょうだいと比べ勉強も運動もできなかったことが拍車をかけ「心理的虐待」の一例に挙げられている内容は全て網羅している家庭環境で育ちました。当時から辛いと感じていましたが、今でも子どもの頃の辛い思い出が鮮明によみがえり悲しくなることがあります。

なかには、子どもの性格上の問題など、他のママから見ると異常と思われてしまうしつけや子どもの泣き方、暴力と勘違いされてしまう傷跡など、虐待ではない可能性もあり、通告するかどうか判断は難しいところです。
以下は、厚生労働省が公表している「子ども虐待対応の手引き」の第3章 通告・相談への対応の一文です。

(1)  通告の対象となる子ども
 子ども虐待の早期発見を図るためには、広く通告が行われることが望ましい。しかし、従来の児童虐待防止法では、通告の対象は「児童虐待を受けた児童」とされており、基本的には、子どもが虐待を受けているところを通告者が目の前で見た、あるいは子どもの体に虐待によるあざや傷があるのを見たといった児童虐待が行われていることが明白な場合が想定されていた。
 このため平成16年児童虐待防止法改正法により、通告の対象が「児童虐待を受けた児童」から「児童虐待を受けたと思われる児童」に拡大された。これにより虐待の事実が必ずしも明らかでなくても、子どもの福祉に関わる専門家の知見によって児童虐待が疑われる場合はもちろんのこと、一般の人の目から見れば主観的に児童虐待があったと思うであろうという場合であれば、通告義務が生じることとなり、児童虐待の防止に資することが期待される。
 なお、こうした通告については、児童虐待防止法の趣旨に基づくものであれば、それが結果として誤りであったとしても、そのことによって刑事上、民事上の責任を問われることは基本的には想定されないものと考えられる。

虐待の早期発見には広く通告される必要があることから、通告の対象が「児童虐待を受けた児童」から「児童虐待を受けたと思われる児童」に拡大されています。
参照:厚生労働省

覚えておきたい相談窓口・電話番号

児童相談所虐待対応ダイヤル「189」は、すぐに児童相談所に通告や相談ができる全国共通の電話番号で、2019年12月3日から通話料が無料になりました。
電話は、管轄する児童相談所につながり、匿名で通告・相談することができます。

出典:厚生労働省

この「189」のほかにも、子どもや親を助ける相談窓口があります。

「24時間子供SOSダイヤル」

いじめ問題など子供のSOS全般に対応した相談窓口です。

出典:文部科学省

様々な問題に悩む子ども自身その保護者が、24時間相談可能(夜間・土日を含む)です。
参照:厚生労働省

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※本記事はライター名を伏せて執筆しております。

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